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■[ 第五回 ] いろいろなお茶

いろいろな種類のお茶も、もとは同じ「お茶の葉」から

日本茶、紅茶、中国茶(ウーロン茶など)。
 この三つのお茶が同じお茶の樹、学名をカメリア・シネンシスというツバキ科の「チャ」の葉から作られるのは知ってますか?
 加工の仕方によって、日本茶でも紅茶でもウーロン茶でも作ることが出来るのです。
 日本茶はご存知の通り、摘み取った新芽を蒸したり炒ったりして、熱を加えることにより茶葉の中にもっている酸化酵素の働きを止めて、発酵させないで作るお茶で、不発酵茶と呼ばれ、比較的低い温度で淹れると、発酵茶では味わえない「うまみ」が生まれます。
 発酵を止めたお茶には「テアニン」と呼ばれるアミノ酸成分が比較的多く残り、この成分がうまみのもとになります。このときの酵素の働きを止めることを殺青といいます。
 紅茶は殺青しないで酸化酵素の働きで発酵させて作るため赤褐色となって発酵独特の香りが出てきます。このように発酵させて作ったお茶を発酵茶といいます。
 ウーロン茶は発酵の途中で殺青することで、発酵を止めて作るので半発酵茶といいます。
 発酵茶や半発酵茶と呼ばれるものは香りがお茶の命となります。この発酵と呼ばれるものは乳酸菌やイースト菌といった菌を用いて発酵させたわけではなく(プーアール茶等は除く)リンゴの皮をむき、しばらくすると表面が赤く変色するのに似ていて、酸化の一種で「植物発酵」と呼ばれ、茶葉の場合はこれに近いもので「酸化発酵」といい香りを高める事となります。
 また、同じ茶葉を不活性ガスの中に放置することにより生理機能によって茶葉の成分中にγ―アミノ酪酸(GABA・ギャバ)が豊富になることから、緑茶の製法を改良して作られたお茶はギャバとウーロン茶のロンを足してギャバロン茶といいます。このγ-アミノ酪酸には血圧降下作用があると医学的に認められ、高血圧や脳卒中、心筋梗塞などに効果があります。
 飲み続けることで血圧が下がり回復したという実例もあり、副作用もなく安心していただける健康茶のひとつに数えられます。
 それぞれの味わいも飲み方のスタイルも異なるお茶ですが、起源をさかのぼると中国の雲南省あたりの茶の樹にたどり着きます。お茶は中国からさまざまなルートを経て世界各地に伝わり、またたく間にその地に根付き、喫茶文化を発展させてきました。
 それは、とりもなおさずお茶に大きな魅力があったにほかなりません。喉を潤し心身を癒して健やかにし、人と人との潤滑油にもなる。そんなお茶の効用が人々の心をとらえたのでしょう。
 「一碗のお茶」「ワン・カップ・オブ・ティー」そして「一服のお茶」で生活を豊かに、楽しく、活力のあるものにしませんか。

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