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■[第12回] 深蒸し茶について

深蒸し茶(ふかむしちゃ)は茶の製造方法の一種です。

生葉から煎茶を造る最初の工程である「蒸し」の時間を、10秒から20秒程度を浅蒸し(当園では「手揉み茶」「品評会出品浅蒸し茶」)、20秒から45秒程度を普通蒸し(当園では「ふくみどり」)と呼び、90秒から180秒程度とするものを深むし茶といいます。

深蒸し茶は長い蒸し時間によって茶葉からの浸出成分が通常の煎茶より多くなり、濃くまろやかな味わいとなります。出来上がって淹れた深蒸し茶は通常、深緑色から黄土色で濁って見えます。

埼玉県ではやや黄色がかった緑色が多く、静岡県では黄色に近い緑色のものが本物とされ、一方九州では、黄土色よりも深い緑色のものが多く、被覆栽培されたものを深むし茶にするケースが多くなっています。

また、網胴回転攪拌式蒸し機の主軸回転数を極端に上げたり、蒸し葉処理機によって茶の葉を粉砕したものを深むし茶といって販売されている場合もあるります。

深むし茶の特色はその濃い緑色ではなく、お茶の「あまみ」や「コク」を最大限に生かしたもので、性質上、粉のように細かい葉が多いので、見かけは良くありませんが、まろやかな深い味わいとなります。

今回、2011年1月12日のNHKためしてガッテン、さらに2011年1月21日のTBS「みのもんたの朝ズバッ」の放送において静岡県掛川市の深蒸し茶が長寿に効果があると放映されましたが、「深蒸し茶」は、昭和40年代静岡県菊川市のお茶農家が開発したといわれています。当時、菊川市を含めた牧之原大地の茶は、日照時間が長く茶葉が厚く堅くなりがちで、品質的に渋いお茶を生産していたと聞きます。大消費地東京に出荷するにおいて、嗜好性に合致した茶にするにはどうすべきかを研究した結果、蒸し時間を長くすることによって、茶葉の繊維を柔らかくし、渋味を取り去った茶を作る事に成功したと言います。

かつては「フリースタイル」の茶と呼ばれ、現在では「深蒸し茶」として定着し、現在に至っています。

深蒸し発祥地である「菊川」、深蒸し茶「掛川」と取り上げられていますが、狭山や九州でも製造されている「深蒸し茶」であれば製法が同じなので、同様の効果が得られると思います。

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